プリセプターも悩んでいる
● プリセプターだって悩んでいる
新人看護師さんが、プリセプターと合わないんだよね…と悩んでいる記事をよく目にします。けれども、指導に当たるプリセプターもかなり悩みながら真剣に指導しようとしています。意外と気づかないことですが、きちんと看護師としての仕事をこなしている看護師であっても、指導下手の場合があります。看護能力と新人に指導教育する能力とは全く別のものです。
そのため、プリセプターのための研修制度や協力体制が整っていない病院ではプリセプターもたいへん悩みながら指導をしています。新人看護師の皆さんは指導される側も毎日課題だらけでつらい…と感じているかもしれません。けれども指導する側は、2倍も三倍も勉強したり悩んだりしながら努力しているのです。
今回はプリセプターの悩みについて考えてみたいと思います。
● 悩んでいるプリセプターは多い
そもそもプリセプター制度とは、一年を満たずに新人看護師がやめていってしまう現状を食い止めるために、悩み多き新人看護師にマンツーマンで看護師の技術や考え方などを指導していく制度です。技術や知識を高めていくだけではなく、新人看護師特有のリアリティーショック、理想と現実のちがいに戸惑い悩む時期を乗り越えていくための相談役としても期待されています。
相談役として、より新人の頃の悩みに親身になれるようにと、年代の近い3年以上経験のある先輩看護師が抜擢されることがあります。病院の中には二年目で持たされる場合もあります。そのため、自分の看護師としての技術が十分にあっても、「プリセプターに初めて抜擢され、何をどのように教えて良いかわからない…」と悩む看護師もたくさんいます。新人の指導だけでなく、通常の看護業務もこなさなくてはなりません。そのため、とても悩んでいるプリセプターは多いです。
● プリセプターに丸なげ?
「すみません、ここわからないのですが…」と、新人看護師がプリセプターが多忙の時にほかの看護師に聞いたとします。すると、帰ってくる言葉は、「あなたのプリセプターに聞けば?」……。このように、本来看護はチーム全体で当たるものですから、新人教育に関してもプリセプター以外の看護師も見守り、請われたら指導するといった協力体制がなければなりません。けれども、現実は、プリセプターに指導や責任を丸投げし、新人がなかなか成長しないときは、プリセプターが責められるといったことも起こっているようです。
誰にも相談できずに自分だけで悩み辛さを抱えているプリセプターもいます。
● プリセプターになるための研修制度も
初めてプリセプターになるときには、やはりどのように指導していくべきか実践的な事前研修が必要になってきます。もしも院内になければ事前研修をやっている場所を検索して学びに行くほうが良いでしょう。
★ プリセプター研修 育てるということ
⇒ http://plaza.rakuten.co.jp/taiyoutotukinoie/5003/
★ プリセプター研修 開催の様子
⇒ https://kango-career.hosp.keio.ac.jp/reports/251-32511
● プリセプターの悩みを軽くするために
【実践的な教育研修を十分に】
まずはプリセプターを選定したら、十分な研修を受けさせることが必要になります。具体的に処置を教える場面でどのように見守り、指導していくべきかといった具体例~、悩みを相談された時のシミュレーションまで、より実践的な教育研修が必要になります。
【チームとして指導していく組織体制を作る】
また、「チーム全体として新人教育に当たる」といったプリセプターに丸なげ状態を作らない組織体制も必要になります。とにかく初めて指導に当たる場合は、大変ストレスが掛かっています。通常業務を軽くし、指導のための勉強の時間の確保や、二人でゆっくりと語り合う時間などの確保をチーム全体でサポートしていく体制が必要です。
【プリセプターの相談役も指定】
プリセプターが悩み困っている時に相談する指導相談役も必要です。この役割がない場合は、プリセプターに丸なげ状態と同じと言って良いでしょう。新人が意外とできる人だった場合は、なんとか初めてプリセプターになった人でもこなせるかもしれませんが、人というのは十人十色です。失敗やミスを指摘しても全く動じない不思議ちゃんもいたり、プリセプターが熱心に指導していても、なかなか覚えられず成長しにくい看護師がいたりと個人差がかなりある場合もあります。
プリセプター自身をも支えていく組織体制を構築することで、プリセプターの負担を大きく軽減させることができます。また、新人の様子をチーム全体でそれとなく見守っていくことで、患者さんの安全確保も可能になります。
★ がんばれナース! プリセプターの仕事って?
サポートしていくための組織作りや、一人に責任を負わせないための方法などについてとても参考になる記事です。詳細はこちらをご覧下さい。
⇒ http://www.nursecheer.com/advise-for-preceptors/
● いつかは自分の誇りになる
「教えることによって自分自身の看護技術も確認できる」
普段きちんとできている通常の看護業務であっても、一から指導する場合は、意外と曖昧に覚えていることに驚かされます。人に教えるためには、もう一度自分の手順で間違っていないか、正式名称の確認等様々な事前の準備が必要になります。そのため、「自分の指導で良いのだろうか…」と不安になることもあります。
時には、あまり厳しいことは言いたくないと思いながらも、この子の将来を思うなら、今は心を鬼にしてしっかりと叱ることが大事と腹をくくらなければならない場面もあります。どんなに厳しい指導者に見えたとしても、ここはきちんと教えなければといった場面もあります。
とても苦しく大変な思いをするかもしれませんが、指導が終了した時には、きっと自分の誇りになります。
「先輩、今私が教えているプリセプティー(新人看護師)です」
厳しい指導をしたはずなのに、このように言われることもあるようです。悩み苦しんだことは全部自分自身の技術を深めることにつながっていきます。絶対に無駄になりません。
★【書籍】「初めてのプリセプター 新人とともに学ぶ12ヶ月」 川島みどり 著
書籍にもとても良い参考になる本があります。一冊持っておくといざという時に心の支えになります。
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