いじめと指導の行き過ぎから

● 看護師にもいじめや指導の行き過ぎがある

看護師は「白衣の天使」という聖職のイメージが大変強いですが、やはり人間ですからいじめや行き過ぎた指導によって悩み苦しんでいる方も大変多いです。また、夜勤があり長時間緊張の中で勤務しますから、大変ストレスの高い仕事でもあります。そのためストレスのスケープゴートとなってしまう場合もあります。
看護師は女性が多いのですが、一般の会社と違って明確な階級の違いがあります。もしも上司がいじめやパワハラを行っている場合は、表面化しにくく、深刻化してしまう場合があります。また、良かれと思って新人看護師を厳しく指導しすぎた結果、相次ぐ退職者を出してしまう場合もあります。
もちろん、和気あいあいと心許せる素敵な看護師さんがほとんどです。けれども不幸なことにスケープゴートとなってしまった場合には、どうやって乗り越えていったらよいでしょうか。

● 女性が多く閉鎖的な面が温床に

「辛くても夜勤があっても当たり前」看護師は聖職のイメージが強く、「辛くたって看護師なら常に笑顔で」という辛さを我慢する風潮がやはり根強く残っています。「早朝出勤」や「夜勤明けでも残業当たり前」「報告等の事務仕事は時間外に」といった旧態然とした風潮がそのまま残っている職場もあります。
またお局様と言われる「行き過ぎた指導をしてしまい何度も新人をやめさせてしまっている方」がいると有名な職場だってあります。
一度スケープゴートになってしまうと、周囲の看護師も見ず知らずを貫き、ほかの看護師と同調し合って、さらにいじめが陰湿に深刻化していくこともあります。

● スケープゴートになってしまうきっかけ

いじめやパワハラ等のスケープゴートになってしまうきっかけは実に些細なことです。例えば熱を出しやすい小さな子供を抱えていて、ほかの人よりも突然休んでしまうことが多かったり、ちょっとした仕事のミスをしてしまったことがきっかけになったり、中途採用者だからといった本当に小さな理由から始まることが多いです。
そのグループの中で影響力が強い人と相性が悪かったりなんとなく気に入らないと思われてただけでも起こるケースがあります。
性格が控えめでおとなしく、強く言い返すことができないタイプや、仕事が人よりも時間がかかる慎重タイプ、みんなとの会話に入ろうとしない引っ込み時間のタイプなどが狙われたりします。
つまりほとんどの場合が本人過失や大きな問題があるからではなく、就職したタイミングやちょっとしたきっかけだけで標的になってしまうということです。

● 転職に飛びつくと大変なことに

まず人間関係を一度にリセットしたいと「転職」を選択する方も多いです。確かに非常に陰湿ないじめで、体や心をすっかり壊してしまったり全く相談に乗ってくれる人がいない職場なら仕方がないことかもしれません。
けれども、できるなら1年間は我慢したほうが良いと思います。なぜなら新人看護師の1年間はこれからの看護師人生を支えていくための土台となる知識と技術を詰め込むチャンスです。よく「転職したら人間関係が上手くいくようになった」というケースを見ますが、実は本当に希なことです。途中で退職や転職をしてこのレールから外れてしまうと、人の3倍も苦労することになります。
また、再就職の際にも「一年以内に辞めるならなにか問題がある人なのではないの」という強いレッテルを貼られてしまい、就職が難しくなってしまいます。このレッテルはかなり根強く、中途退職をしてしまったばかりにどこを面接しても「人間関係による退職者」ということで敬遠されてしまい、看護師をやめざるを得なくなった人もいます。一年以内の退職はとても大きな代償を払うことになるので本当に慎重に考えてください。

● 転職するなら目標ができてから

看護師の主な転職理由は、「結婚・出産・育児・介護・スキルアップ」が上位を占めています。実際は体や心を壊してしまうほど辛いのをこらえ、このような理由ができたタイミングで転職しているというのが現状です。
「人間関係の悪化」等の理由でやめてしまうと再就職を目指した時に「中途採用者」として採用されます。すると、執拗な腕試しにあって前の職場の方が環境が良かったと感じる人が半数以上と言います。
もしも転職をするのなら、スキルアップや自分の専門分野を追求するために転職をしましょう。そのためには、入念な準備が必要になります。大学に編入する場合には勉強するだけではなく入学金や就学中の生活日の捻出等について計画し、奨学金などの情報を調べ、貯金しなくてはなりません。
実は転職を繰り返すほどに就職条件が悪くなっていく場合もあります。実際に転職した人のうち「前の病院の方が研修制度や補助金、専門分野に秀でた先輩がいて環境が良かった…」という方がほとんどです。「もっと自分にしかできない専門分野を身につけたい」と考えるならば、今勤めている病院の中で保証されている研修制度、スキルアップ支援制度、専門分野の知識や技術を学ぶチャンスを全て使い切ってからでも遅くはありません。
転職で環境を変える場合は、「人間関係を新たに構築する」「新しい仕事を1から覚える」「家族と暮らしのための手続き」等、一度にたくさんの負荷がかかってきます。ですから、もしも今、とても辛くて悩んでいたなら、すぐに転職を考えるのではなく、新たなスキルアップを目指してコツコツと準備していってください。準備さえしていれば「今ならきっとうまくいく」というタイミングが必ずきます。
「人間関係をリセットしたい」というマイナスの理由からではなく、一歩先の自分の夢を実現できるよう転職の機会を最大限に利用してみてください。

● 相談したいけれど相談できない…

看護師は厳しい守秘義務が課せられています。また、看護師の悩みは人の死にも関わることもあり、看護師にしかわからない深い悩みもあります。そのため、職場での悩みは家族や友人にわかってもらいにくいだけでなく、相談しにくい場合もあります。
けれどもいじめやパワハラなど上司が加害者の場合には、同僚にもほかの病院の関係者にも相談でずに自分だけで抱え込んでしまいます。そうなると職場での通常の連絡調整も出来にくくなり、業務にも支障が出てきてしまうだけでなく、どんどん悩みが深くなっていってしまいます。

まずは、別の病院で働いている看護師の友達に話してみましょう。看護師の口コミはかなりネットワークが広く、「いじめが常習になっている職場」や「パワハラで有名な人」などの情報を集めることもできますし、的確なアドバイスをもらうこともできます。自分だけで悩んでいると、自分自身が次第に信じられなくなって心が折れてしまいます。ぐちでもいいから相談してみてください。

それと、看護師以外の職業の友人にも話を聞くことも大切です。病院内では当たり前とされていることも、一般的には労基法違反になっていることもあったり、「看護師は意外と保証が大きいよね」等、意外な意見をもらったりすることもあります。つい看護師以外の仕事をしている友人とは休みが合わなかったりして疎遠になってしまいがちですが、機会を設けてつながりを作っておくととても良いでしょう。

● リエゾンナースに相談してみる

通常リエゾンナースは患者さんやその家族の病気に対する不安や苦痛を緩和するための精神看護のエキスパートです。
実はリエゾンナースは看護師の過度のストレスや人間関係の深い悩み等に関しても相談に乗ってくれます。「質の高い看護を目指すのなら、まずは看護する人の心をケアする必要がある」といった理念に基づき、看護師の幅広い悩みにもこたえてくれる存在です。
患者さんと上手く関わることがないといった悩みや、後輩の指導に関する悩み、その他の人間関係についても相談することができます。現在、リエゾンナースを利用できる病院はまだまだ少ないのですが、「まずはケアする人をケアすることが重要」とする理念は広がりつつあります。

● それでもつらい…一刻も早く環境を変えたい

体や心がこのままでは壊れてしまうという危機感があり、一刻も早く環境を変えたいと考えたならば、少し長めの休暇をとって、まずは心と体の治療をしっかりと検査してみてください。時間的なブランクを開けることで、人間関係も少しだけ改善することもありますし、体が元気になれば心も元気になってきます。家族のためにもまずはあなた自身が元気になることが大切です。
体も心も検査した上で、問題がなければ転職に踏み切ることも可能でしょう。転職する際には、労働環境をよく調査した上、さらに人間関係などについてもクチコミなどの情報をよく集めて検討してみてください。転職支援会社のコンサルタントは、そういった病院に関する口コミ情報をたくさん教えてくれますし、転職に関する不安やわからないことについて相談することができます。周囲にリエゾンナースのような相談できる相手がいない場合には、転職支援会社のコンサルタントに相談するのもひとつの方法です。

全国にはそれぞれたくさんの転職サイトがありますが、私が住んでいる福岡県に関してのサイトを見つけたので参考にしてみてください。
福岡県の看護師求人情報サイト

・・・他・・・
★ 看護師いじめ解決.com
現役ナースによるいじめのレポート
⇒ http://xn--n8jxb7g316qn7oupo684ahwc.com/

★ 看護師も相談できるリエゾンナース
⇒ http://www.1ontauup.org/entry2.html